広島 スタジアム問題について ~だんごファーム別館~

元サンフレッチェファンが思うこと

【広島 スタジアム問題 7 】広島県・広島市・商工会議所はサンフレッチェ広島との交渉を打ち切るべき

この記事を書いて一日置いてみたが、気持ちに変化はないので公開する。落胆度でいけば、あの5月13日の独自案の詳細発表以上だ。

 

最初の記事を除いては、これまで努めて怒りの感情を抑えてやってきたつもりだ。個人の感情にまかせて書き殴っていたのでは何の解決にもならない、サンフレッチェの価値を上げるためにはどうしたらよいのか、自分に何が出来るのか。クラブが独自案を発表したのも、それしか方法が無かったのかもしれない。すべては、サンフレッチェが広島にとってかけがえのない存在となるため、そのためにはサッカースタジアムの建設は必要な事だ。そうやって最大限、クラブの考えも理解するように努力してきた。

しかし、そんな思いも先日の三者への確認事項という名のプレスリリースを読んだ瞬間に吹き飛んだ。こんなくだらないプレスリリースをいけしゃあしゃあと発表するクラブに交渉の余地など無い。広島県・広島市・商工会議所(三者)はサンフレッチェ広島との交渉を即刻打ち切るべきだ。理由は後述するが、まずはこの確認事項について述べる。

 

1.本書簡にて「旧広島市民球場跡地にサッカースタジアムを建設するのは難しいとお考えの具体的な理由について、建設費以外の理由があれば教えてください」とお訊ねしたところ、回答書番号2では「旧市民球場跡地にサッカースタジムの建設ができないのは、平成23年10月に設置された『旧市民球場跡地員会』で平成25年3月に策定した『旧市民球場跡地の活用方策』、および、平成27年1月に広島市から発表された『旧市民球場跡地の空間づくりのイメージ』があるから」とご回答をいただいておりますが、他方、同じ回答書番号1は、最終的なスタジアム建設候補地を旧広島市民球場跡地と広島みなと公園の2つに絞った「『サッカースタジアム検討協議会』における提言を重く受け止めるのは当然の対応」とされています。このように、『旧市民球場跡地員会』と『サッカースタジアム検討協議会』という、いずれも行政主導の委員会と協議会を開催しながら、双方の結論が矛盾していることについては、どのように理解すればよいのでしょうか。

 もともと文化芸術施設を中心としたイベントスペースで基本方針は発表されている。そこにサッカースタジアム検討委員会が無理やり市民球場跡地を候補地として残し、割り込んだ形。その検討委員会にはサンフレ関係者も出席しているわけで、それを矛盾しているなどという指摘そのものがまずおかしい。しかし、これについては広島市にも責任がある。跡地の基本方針を決めながら情けで選択肢として残したのが、今日の混乱につながっている。速やかに基本方針に従って整地すべきだ。

 

2.本年7月12日の記者会見で、松井市長はスタジアム建設候補地について旧広島市民球場跡地と広島みなと公園以外の場所の可能性について言及され、また本年7月19日の記者会見で、湯崎知事も同様に新たな建設候補地の可能性について言及されました。回答書では最終的なスタジアム建設候補地を旧広島市民球場跡地と広島みなと公園の2つに絞った「『サッカースタジアム検討協議会』における提言を重く受け止めるのは当然の対応」とされながら、これら2つの候補地以外の建設候補地の可能性についても、松井市長と湯崎知事が相次いで言及されたことは、松井市長と湯崎知事はこれまでの「『サッカースタジアム検討協議会』における提言を重く受け止めるのは当然の対応」とされていたお考えをご変更されたという認識でよろしいのでしょうか。

 第3の候補地は商工会議所の深山会頭が、どうしようもない状況を見かねて助け舟を出した形。県と市は諸手を挙げて歓迎しているわけでもなく、事態打開へ検討の余地があるとしているだけだろう。このようなつまらぬ言いがかりは、間に入った深山会頭の顔にも泥を塗る非礼な行為ではないのか。

 

3.現在、旧広島市民球場跡地において開催されているイベントの主催者は、どのように出展者を募っていらっしゃるのでしょうか。また旧広島市民球場跡地を管理されている広島市はイベントの募集要項(出店費用と広告宣伝費など)を把握されていらっしゃるのでしょうか。

この質問は意図がわからない。イベントの選定方法が跡地にスタジアムが建つことと何の関係があるのか。大方、支持者のTwitter上の黒幕説に乗せられて質問してきたのだろうが取るに足らない確認事項だ。試しに跡地支持者の方はサンフレ公式アカウントにDMを出してみるといい。サポーターに寄り添うクラブは、多分そのまま行政に意見をぶつけてくれるだろうから。

 

4.本年6月9日の広島市議会本会議において、谷本市民局長が「スタジアムの収容規模が最大2.6万人のサンフレッチェ案では、国際大会の誘致の可能性が低い」とご答弁されています。このご見解は当社が日本サッカー協会から文章で回答を得た内容と異なるものですが、作業部会もしくは広島市は、具体的に日本サッカー協会のどなたから、いつこうした見解を得られたのでしょうか。

クラブは「代表戦について誘致可能」との言葉を縦にしているようだが、あくまで"可能"であるだけだ。実際には実績として拾った方が現実性が高い。そもそも論として、2万6千だろうが3万だろうが、重要なA級マッチが広島で開催される可能性など無いに等しい。協会が興行としての収益を考えれば、より大きい長居や埼スタ、横国などで開催したいのは当然だろう。完成直後はご祝儀程度に何試合か開催してくれるかもしれないが。それにしても「日本サッカー協会のどなたから、いつこうした見解を得られたのでしょうか」などという、小学生の言い合いのような稚拙な文面には嫌悪感しか覚えない。

 

5.本年6月9日の広島市議会本会議において、谷本市民局長が「サンフレッチェ広島の現行スタジアム案では、過去5年間で3割アップしている工事費が反映されていない」という見解を述べられていますが、同案における単位面積当たりの工事費は作業部会の宇品案とほぼ同じ水準です。しかるに、サンフレッチェ案のみが最新の工事費でないと主張される具体的な根拠をご教示いただけますでしょうか

久保会長自身が4月22日の動画で「作業部会案の工事費が前回発表より134%のアップになっているのはおかしい」と指摘している。作業部会は工事費の上昇を見込んでいるのではないのか。たとえそうではなくても、相手のおかしい点を突けばサンフレッチェの工事費自体が安くなるわけではないだろう。自分達の言い分を主張するのは良いが、こんな事をしても何の為にもならないと思う。

 

6.本年6月9日の広島市議会本会議において、谷本市民局長は、サンフレッチェ広島が提案するスタジアム案について「本来、県や市が得るべきキャッシュフローをSPCが得て、それを返済原資に充てるスキームになっていることは問題」という見解を表明されましたが、スタジアム運営においてはキャッシュフローの帰属先は指定管理者であることが、そもそも指定管理者制度の要諦であり、すでに全国で多数の導入事例もございます。谷本局長のご発言は、スタジアムの指定管理者制度や民活導入そのものを否定されるものと思われますが、ご見解を訂正されることはありますでしょうか。

 市局長の答弁は指定管理者制度の否定というよりは「寄付を受ける施設そのものが借入金の担保になっている場合は、寄付を受け付けない」という広島市の回答に基づくものだろう。資金スキーム自体が否定されているのだから、そちらを考え直すべきだ。"寄付"という言葉で一般市民に訴えかけようとしているのだろうが、実質は所有権から発生する固定資産税逃れの意味合いが強い。そもそも、これだけ行政と対立しているサンフレッチェを簡単に指定管理者に選定するかどうかも不明。選ぶ権利は行政側にある。

 

…書いていて情けなくなってくる。本当に何の為にこんな馬鹿げた確認事項を公式でリリースするのか。オープンに議論をしたいという狙いがあるのだろうが、それは世間が跡地案を支持している場合には有効だ。しかし、クラブが思っているほど跡地案が支持されているわけではないから、一部でしか盛り上がらない。それどころか、行政側の一個人をHPで糾弾するようなやり方では、一般市民は引くばかりだ。

 

 

 

そして冒頭で述べた、三者がサンフレッチェとの交渉を打ち切るべき理由は次の3つ。

 

①跡地にスタジアムを建てることはが「手段」ではなく「目的」であることが明確になったため。

 以前からクラブは周辺にも経済効果をもたらす「複合型スタジアム」の建設を主張してきた。それが法的な理由、面積の問題などで不可能とわかると、サッカー専用スタジアムに方針を変え独自案を発表した。その事自体が悪だとは思わないが、何らかの説明は必要だったと思う。そして、それについては何の説明もまま、深山会頭が打診してきた第3の候補地について聞く耳すら持たず、行政を非難する構えを見せる。結局は市長が言うように「跡地ありき」なのだ。本来はサッカーを通じて広島のスポーツ文化を発展させることが「目的」であり、サッカースタジアムはその為の「手段」に過ぎない。しかし、何度かのやりとりを経て露わになったのは跡地を手に入れることこそが「目的」であるということ。跡地に建てるカタルシスの為なら、スタジアムなど要らないと思う。

 

②カープが優勝しそうな今年、スタジアム問題で市民の関心が高まることは無い。

これは、行政側由来でもサンフレッチェ由来でもない外部要因の一つ。一人が娯楽に賭けるかけれる時間、費用には限度がある。広島人が今最も興味を抱くコンテンツがカープであることは間違いない。そして、そのカープが今年は優勝しそうな勢いだ。これだけカープが盛り上がるなか、サンフレッチェがスタジアム問題で広島市民の関心を引こうとしても、どうしたって埋もれてしまう。こればかりはクラブ・サポーターがいくら頑張ってもどうすることも出来ない。残念ながら時期が悪かったとしか言いようがない。

 

 

③跡地が残り続ける限り、まともな議論にならない。

これが打ち切るべき最大の理由。ここまで拗れれば、もはや水掛け論でしかない。だからあのような攻撃的なプレスリリースを出してくるし、それを問題視する人物もクラブ内にはいないのだろう。全方位を敵認定しながら、跡地を得ることに執着し続けるクラブの姿は異様としか言いようがない。「浅野の記事の事で中国新聞に電話してやった」などと鬼の首を取ったように拡散するサポーターも同様。自分達の思い通りにならなければ外部に原因を求めて徹底的に叩くというモンスタークレーマーを一般市民が受け入れることなどありえない。跡地が今の状態を保ち続け、一縷の望みが残る限り、まともな議論など出来ないだろう。交渉は一旦打ち切り、まずは跡地を整備した後で再度スタジアム建設について議論すべきだ。

 

 

 

正直言ってここまでくると、スタジアムそのものが本当に必要なのかも、自分にはわからくなってきた。跡地支持者は宇品の住民から反対されていることを喜んでいるようだが、まるでゴミ処理場や軍事施設のように住民から拒絶される施設を作る必要があるのかどうか。そんな扱いで建つスタジアムなんて哀しすぎる。