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広島 スタジアム問題について ~だんごファーム別館~

元サンフレッチェファンが思うこと

【広島 スタジアム問題 3 】 スタジアム建設を叫ぶ前にやるべきこと

5月27日、オバマ大統領が広島を訪れた。様々な人が色々な感情を持ったことだと思うが、個人的には被曝者である祖母の三回忌法要と重なったのは、何かの縁ではないかと感じた。そして、改めてあの一帯が特別な場所であることを再認識した。これまでは「平和の発信」なんてエディオンスタジアムでも出来るじゃないかと思っていたが、やはりあの一帯でしか発することの出来ないメッセージは間違いなくある。ただ、それがサッカーであるべきなのかと言われると返答に窮する。最初はそれなりに意義も見出せるだろうが、継続的に発するのは難しいのではないだろうか。どちらにしても人それぞれに思いがあるわけで、明確な答えなどないのだろう。

 

前書きはこれくらいにして、今回もスタジアム問題について。この問題について前2回書いたが、「コイツが言いたい事が解らない。何なの?」という声をよく聞く。それ位は本来文中から察して頂きたいのだが、自分の言いたい事を要約すると「今集客出来ていないのに新しいスタジアムが欲しいなんて10年早いわハゲ仕切り直せ」になる。ただ、それを言うと話が終わってしまうので、もっともらしく理由を付けてグダグダと書いていく。

 

スタジアム問題が影響を与える観客動員数

5月13日の詳細発表以来、これといって進展の無いスタジアム問題だが、先日広島商工会議所の深川会頭が久保会長と話し合いを持つ意向という報道があった。硬直した事態打開への一筋の光にも見えるが、「予算と集客人数の根拠を示してね」という念押しも頂いている。普通であればここをクリアして、いわゆるトップ会談へと持ち込みたいところだろうが、何分、前回の独自案詳細発表のこともあり、本当にまともなとしたものを提示できるかどうかはかなり疑問。ただ、現状これ以外に事態進展の道筋は無く、久保会長にとってはこれがラストチャンスとなりそうだ。

しかし、この話合いも6月の話であり、決着など遥か遠い話のようにも思えてくる。一体いつまでこんなことをやっているのだろうかとも思う。それは、この問題をずっと引きずることで観客動員面での心配も出てくるからだ。

5月21日に行われたガンバ大阪戦、エディオンスタジアムに駆けつけた観客数は17000人あまり。今期最高という事だったが、ここ数年の因縁や上位生き残りをかけた強豪同士の対決として見たら入っていない。土曜日の昼開催なら20000人近くは集めたいところだったと思う。事実、観客動員数では今期も苦戦していて、これまでのところ1試合平均13000台。これには、えーしーえるとかいう参加したんだかしなかったんだかよくわからない大会の影響で金曜日開催が増えた事も大きいが、この数字はスタジアムが欲しいと願っているチームの観客数としては寂しすぎる数字だ。そして、これだけスタジアム問題が紛糾しているのに、依然として関心が上がっていない証拠だと思う。むしろ、この問題が長引くに連れて、サンフレッチェのイメージは低下していく可能性の方が高い。それは、何度でも言うがメディアがーではなく、この問題におけるクラブの手法が自治体、地域住民と対立しているという見られ方をされてしまうためだ。少しでも早いうちに、この問題については決着をつけた方が良い。というのも、6月のホームゲームはある程度観客数が見込める浦和戦1試合のみだが、7月は4試合もホームゲームが開催される。この重要な7月まで未決着のまま引きずっていれば、クラブを取り巻く環境はより厳しくなっていくだろう。

 

”根拠のない数字”よりも争点は解りやすくするべき

依然としてクラブは「我々は25,000人規模で十分、作業部会は30,000人規模にこだわっている」というメッセージを発信し続けているが、この議論自体が今の動員観客数から試算していくと、ほとんど意味の無い事のように思える。以下は2012年初優勝時からの観客数推移。

2012年 301,249 (平均 17,721)

2013年 275,556 (平均 16,210)

2014年 254,951 (平均 14,998)

2015年 278,499 (平均 16,383)

2016年 92,678  (平均 13,240)

(※2016年は5/22終了時点)

初優勝を境に見事な右肩下がり。昨年は優勝特需で盛り返したが、これは圧倒的に「アクセス<コンテンツ」の試合状況が生み出したわけで、そんな状況がそうそう生まれることはないし、あてには出来ない。クラブは当初、跡地であれば4割動員が上がると見込んでいたようだが、さすがにそれは無理だろう。そもそも、アクセスが良くなったからといってそこまで観客数が増えるかどうか疑問だということは、以前書いたのでここでは割愛する。新スタジアムが仮にできたとして初年度から3年程度はオープン祝儀で観客数も増えるだろうが、以後は良く見積もっても10%~20%程度が妥当だと思う。2016年の平均観客数約16,000人に当てはめれば20%増でも19,200人、20,000人にすら届かない事になる。現状がこの程度の観客数なのに、25,000だ30,000だということを論じる事自体が絵空事に過ぎない。

それにしても、これだけスタジアムの事で紛糾しているのに、今の観客動員を上げて一般市民を納得させようとするような動きが無いのが不思議でならない。「エディスタはアクセスが糞だから」のひと言を免罪符にして、跡地にならすべてが解決されるという姿勢では広く共感を得ることは難しい。この事は行政側も「今の観客動員を上げる努力をしろ」とサンフレッチェに要求するべきだと思うし、もっと広く論じられるべき事項ではないだろうか。

ただ、行政側からの”お願い”が無かったわけではない。2012年初優勝の際の優勝報告会で湯崎知事はこう言っている。

 

 「今年は最高の入場者数。来年はもっといってください。そうしたら(スタジアムを)考える」と。

 

当時は自分も現場に居合わせたが、酒でも飲んできたのかと思うくらいに知事のテンションは高かったし、お祝いの席でのリップサービス程度かもしれない。ただ、こうやってハードルを明確にしてくれた方が、一般市民にはわかりやすい。スタジアム問題が一般市民の関心を得られない原因の根本は数字を示せていないことだ。まずは観客動員数を上げてわかりやすい形で示すことが必要だと思う。例えば33万人動員計画を大々的にぶち上げてもいいだろう。最低でも2012年の観客数を上回ることは必須条件だ。目標を明確にすれば、それに向かってサポーターも呼び込めば良い。「3回優勝したら」なんて言葉よりも、よほど説得力がある。

負けても来てもらえる環境づくりが必要

サンフレッチェはここ数年、予算が限られるなかで最高の結果を残してきた。そのこと自体は讃えられるべきだし、そのことに異論はない。ただ、「勝つ」ことで存在価値が上がるのであれば、とうに上がっている。勝つ事と観客を増やす努力を同列で語るべきではないし、これこそ議論のすり替えだと思う。極論を言ってしまえば「負けても来てもらえる環境づくり」が必要だ。

野球の事を書くと的外れなコメントや取り上げられ方をするのであまり書きたくないが、解りやすい例なのであえて書く。カープはその姿勢に対して批判も多いが、ボールパーク型であることを最大限に生かしてエンターテイメントに特化してきた。今年からはじまったお化け屋敷などは最たる例だろう。なにもエディオンスタジアムにお化け屋敷を造れなどとは言わないが、来場したゲストを楽しませるという姿勢は見習うべき点も多いだろう。幸い広域公園には広大な広場がある。あのお祭り広場ににぎわいを求めるならもっと特化すべきだし、アイデアは出し合っていけばよい。以前のブログで書いた事があるが、スタジアムグルメを売りにするならスタンプラリーだって考えれてみればいいだろうし、今は細々とやっている子供向けのキックターゲットをもっと作り込んで派手にして、それ目当てで親子連れの来場を狙うことだって出来るだろう。

「強いサンフレッチェを観に行きませんか?」では負けてしまえば何一つ残らない。「スタジアムに行けば何か楽しい事をやってるから行ってみよう」と思わせないと観客数が増えることは無いと思う。ここまで観客数が増えないのだからアプローチは変えるべきだ。この点では、同じく僻地にありながらここ数年観客数を増やしている西武ライオンズの手法を見習うのも良いと思う。西武ドームは周りは湖、ダムに囲まれた山の中にあり、西武鉄道が通っているもののアクセスが良いとはお世辞にも言える場所ではないが、選手発案で来場者にグッズを配布したり、来場を呼び掛けるメッセージを発信し、ファンはそれに応える形で来場する。地元や自治体と連携して色々なイベントに選手やマスコットが訪れ地域住民とのふれあいを測って繋がりを強めていると聞く。似たような環境のサンフレッチェにも参考になる点はあるはずだ。ただし、サンフレッチェの場合は、まずはスタジアム問題で拗れた関係を回復させるところから始まるという条件付きではあるが。

サポーターには出来る事があるならそれは「我慢すること」

 ここまでクラブへの要望を書いてきたが、サポーターにも出来ることはあるだろう。観戦環境を改善しようと思えば、まずは公共交通機関での来場を徹底することだと思う。それにはクラブがもっと呼びかけねばいけないのだが、今は無料の駐車場に朝早くから熱心なサポーターがこぞって駆けつけるという図式。車での来場を控えさせるために一番早いのは駐車場の有料化だろう。「一般の方も公園を使うから」という理由で有料化に踏み切れないという話も聞くが、他のイベントでの来場者には事前に1日限定の通行証でも発行しておけば良いと思う。西風新都の臨時駐車場は無料でも良いだろうが、シャトルバスは有料化に踏み切るのも手だ。この有料化については今の現状よりも観客離れを引き起こす危険性があるので、十分な検討が必要だが、経営が苦しいなら考える価値はあるし、サポーターもそれを支えるべきだと思う。「広島は車社会だから」と車で来ることを勧めているような今の状況では、20,000人以上来れば帰りに何時間も待たされることになり、それこそリピーターなどつかない。2nd優勝決定戦やCSではアストラムを増便させることで、30,000人以上を”それなりに”捌くことが出来たのだから、出来ない話ではないだろう。公共交通機関を増便するという前提があるが、普段から足しげく通うサポーターは、新規サポーターの為に駐車場を譲るくらいの考え方は必要だと思う。

パークアンドライドを紹介されているサポーターの方のブログがあるのでこちらも紹介させていただく。

サンフレッチェ観戦パーク&ライドおすすめ情報: やけっぱちステップ

 

淞南ベルマーレはクラブとしてオンラインパーキングを推奨している。サンフレッチェにもこういう取り組みは出来るはずだ。

 

オンラインパーキング『トメレタ』サービス取り組み開始のお知らせ « 湘南ベルマーレ公式サイト

 

<最後に独り言>

6月5日はサンフレッチェの選手が様々なイベントでゲスト出演が予定されているという。自分はもっと選手をいろんな場所に出してアピールすべきだと思っている旨は以前も書いたので、これは良い事だと思う。このイベントには熱心なサポーターが多く駆けつけるだろうが、そこで興味が無い一般の人にも広くアピールするために”譲って”あげるくらいの気持ちがあってもいいと思う。熱心なファンはそれこそ吉田で何度もファンサービスを受けているだろうし、選手は一部のファンだけのものでもない。イベントは選手の知名度をあげて少しでもサンフレッチェに興味を持ってもらうチャンスなのだから。まあ、これは要らぬことだけど、毎回この手のイベントで感じる事なので書かせてもらった。